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音声認識を用いた聴覚障害者支援
last update: 20100324■聴覚障害者のための情報保障についての基礎知識――音声を文字化することに注目して
■音声認識を用いた聴覚障害者のための情報保障方式の分類
■音声認識を用いた聴覚障害学生支援についての先行研究
■音声認識を用いた会議情報保障支援についての先行研究
■第6回障害学会大会における音声認識を用いた聴覚障害者支援実験の結果
■参考文献
■参考webページ
■AmiVoice
■本ページの目的:これまで聴覚障害者のための情報保障支援の方法としては、手話通訳、ノートテイク、パソコン要約筆記などが用いられてきた。このうち手話通訳は他とは異なるが、ノートテイクやパソコン要約筆記は文字をなんらかの媒体に書いて情報を伝えるという点で一致している。本ページは、この文字を書いて 情報を伝えるという点に着目したものである。
※1 本ページは作成中のページである。
※2 []内はページ作成者による補足
※3 本ページの文責:櫻井 悟史
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◆聴覚障害者のための情報保障についての基礎知識――音声を文字化することに注目して以下、◇日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)「トピック別聴覚障害学生支援ガイド――PEPNet-Japan TipSheet集」編集グループ, 2008, 『トピック別聴覚障害学生支援ガイド』筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター、より。「」が ない箇所は、ページ作成者が再構成したメモ。
●高等教育における聴覚障害学生支援 白澤麻弓(10-12)
・聴覚障害学生の感じる困難(10)
・友達との会話に入れない
・討議についていけない
・連絡や放送がわからない
・連絡が取れない
・非常時の情報が得られない
「聴覚障害者の多くが、「内容を理解するだけなら、後でノートを借りればよい。けれどもそれだけでは自分が何のために大学に入学し、授業に出席しているのかわからない」という意見を述べています。そこで、聴覚障害学生がこうした[資料に載っていない話、日常的な経験と結びつけた解説、教員の人間性や研究に対する姿勢に触れる話等]授業におけるたくさんの情報を他の学生と共有するためにも、先生方のお話やその他� ��音情報をリアルタイムに文字や手話に変える「情報保障者(講義保障者)」あるいは「通訳者」の存在が不可欠なのです」(11)
・情報保障(講義保障)の方法
(a)手話通訳:手話を用いて行なう方法
(b)筆記を用いて行なう方法
(b-1)ノートテイク:手書きでルーズリーフ等に話の内容を記載していく方法
(b-2)パソコンノートテイク:(b-1)と同様の作業をパソコンで行なうこと
「確かに聴覚障害学生をとりまく学生達が、聞こえないという障害について理解し、必要なサポートを行っていくことは非常に重要です。しかし、手話通訳やノートテイク、パソコンノートテイクといった情報保障には、高度な技術と専門知識が必要で、そのような技術を持たない学生では十分な保障ができない場合も多 くあるのが事実です」(12)
「聴覚障害学生とまわりの学生との人間関係への配慮からも、専門性のある第三者を情報保障者として正式に授業に配置していくことが重要です。同時に、単に無償のボランティアではなく、技術に見合った報酬を支払うのも重要な大学としての責務のひとつです」(12)
●情報保障の手段 岩田吉生(25-27)
(b-1)ノートテイク:1コマ90分の授業をノートテイカー1名で担当するのは、手指や腕などの筋疲労や精神的負担の面から非常に困難である。そのため、一般にはノートテイカー2名を配置し10〜15分ごとに交代しつつ進める。
(b-1-1)通訳としてのノートテイク:教員が話している内容をできるだけたくさん書き上げていく。
(b-1-2)記録としてのノートテイク:手話通訳を活用すると� ��に授業内容をコンパクトにまとめていく。
熟練したノートテイカーの場合、1分間に60〜70時程度の書き取りが可能。
(b-2)パソコンノートテイク:メリットは、プロジェクターや字幕出力機器とスクリーンを活用することで、一度に多くの聴覚障害学生に情報保障を行なうことが可能である点。1名でパソコンの文字入力の作業を進めることは疲労度の観点から望ましくなく、2名1組で行なうことが望ましい。
少し練習すれば1分間に100字以上の入力が可能。熟練した入力者であれば1分間に200字以上の文字入力が可能となる。2名で連係して入力すると、さらに多くの情報を入力することも可能。
(b-3)OHP(オーバー・ヘッド・プロジェクター)ノートテイク:一般的には2名以上の筆記者によって文字情報を書き取って� �き、大型のスクリーンにその文章を拡大投影する方法。近年はOHC(オーバー・ヘッド・カメラ)を利用して、文章以外の図表、写真も映し出す試みがなされている。
(b-4)音声認識ソフトによる音声認識同時字幕システム:話者の音声をパソコンの音声認識ソフトを活用して文字化し、パソコンの画面やスクリーンに表示する方法。現在、国際会議や放送局の字幕など、さまざまな場面で利用されている。
「このシステムでは、音声認識ソフトの特性を活かして、話者の声を直接認識させるのではなく、特定の訓練された人(同時復唱者)が復唱して認識させることで字幕精度を上げ、実用化しています。また、同時修正者が誤変換を修正する作業を入れることでさらに精度の高い字幕を提供することができます」(26)
(c� �その他の情報保障手段
(c-1)板書
(c-2)授業資料
(c-3)ビデオやDVDの字幕化
(c-4)FM補聴器の貸し出し
●文字による支援方法 三好茂樹(28-30)
「「文字による支援」とは、教員などが発した音声を何らかの方法で文字に変換し、聴覚障害学生に提示することによって、聴覚障害学生を授業に実質的に参加させるための支援(授業保障)のこと」(28)
「講師の発話速度はまちまちですが、例えば、発話することを一つのスキルとして持つアナウンサーの話す速度は通常1分間あたり350文字から400文字と言われています」(28)
(b-3)OHPノートテイク:通常3〜4名で担当。メインの筆記者、補助の筆記者、ロールフィルム[このフィルムに油性ペンで文字を記入]をタイミングよく引く引き手で連係して実施。� �当者はOHPの強い光から目を守るために偏光グラスをかけ、フィルムに貼り付かないように手袋を着用。効率よく情報を伝えるために、よく使う言葉や長い固有名詞をあらかじめちいさなフィルムに記入しておくなどの工夫をすることがある。パソコンノートテイクの普及により、OHPの利用は減少してきたが、記号や数式など手書きでないと対応が困難な場面では、引き続き有効。
(b-2)パソコンノートテイク:一般的には専用ソフト(IPtalk、まあちゃん等)とLANを用い、入力者のパソコンで入力された文字を表示用のパソコンにネットワークを介して送信し、その画面を提示する。1文を複数人で入力する連係入力を用いれば、原文の8割程度を伝えることが可能。
(b-5)速記による支援:速記技術を応用した文字提示方法。特殊� �入力装置(ステノキーボード、ステンチュラなど)を利用し、発話内容をほぼ全て文字化。入力方法が特殊であるため習得に時間がかかる。そのため、人員の確保が今後の課題となっている。
(b-4)音声認識ソフトによる音声認識同時字幕システム:現在のところ、教員が発話した音声そのままでは十分な認識精度が得られず、情報保障としては不十分である。そのため、復唱者を置いているグループが大半。
●パソコンノートテイク その特徴と活用 太田晴康(34-36)
パソコンノートテイク(computer-assisted notetaking)に必要な専門知識と技術。
(1)素早い文字入力操作(1分間あたり100時(ミスタッチを除く)以上の入力速度が望ましい)
(2)ソフトの機能の活用(単語の辞書登録など)
(3)LAN(local area network)の知識
(4)話をまとめる力
(表)36ページから引用。手法という語だけ、ページ作成者が追加した。