2012年5月8日火曜日

UNIX互換環境を実現するSUAを利用する − @IT


Windows TIPS
[System Environment]

UNIX互換環境を実現するSUAを利用する

―― SFU後継のSUA(Subsystem for UNIX-Based Application)を活用する ――

 Windowsシステムの管理業務を行う場合、UNIX/Linuxベースのツールやアプリケーションが利用できると便利なことが多い。UNIXはもともとコマンド(CUI)ベースのOSシステムであり、システム管理に活用できる数多くの有用なコマンドを持っているからだ。

 Windows OSで利用できるUNIX互換環境としては、従来はSFU(Services for UNIX) 3.5がよく使われていた。これはUNIXユーティリティやGNUなどのツール類をWindows OSのUNIX互換サブシステム(正確にはPOSIX:Portable Operating System Interface互換サブシステム)上で動作させるためのアドオン・ソフトウェア・セットである。Windows XPおよびWindows Server 2003向けにリリースされていた。当初は有償製品であったが、その後無償化されている。


Win XPの上でSHA1SUMを実行する方法

 Windows Vista/Windows Server 2008以降のWindows OSではSFU 3.5は利用できないが、代わりにその後継である「SUA(Subsystem for UNIX-based Applications)」という追加機能が利用できる。Windows OSの標準機能として用意されたことにより(実際には、後述するようにパッケージは別途ダウンロードする)、導入が容易になったほか、64bit Windows OS環境でも利用できる(ただしSUAのバイナリは32bitモードで動作している)。本TIPSではこのSUAの導入方法について解説する。SUAの機能については、以下のサイトや前掲のSFUの記事を参照していただきたい。名前は異なるもの、SUAの実体はSFUと同じく、UNIX互換環境を実現するInterixというソフトウェア・コンポーネントである。バージョン番号でいうと、SFUは2〜3.5、SUAは5〜6.xになる。

 SUA向けの追加コマンドやパッケージの入手、ユーザー同士の情報交換などについては、上のコミュニティ・サイトが詳しいので、参考にするとよい。

手順1――「UNIXベース アプリケーション用サブシステム」機能の追加

 SUAはWindows VistaとWindows 7のUltimate/Enterpriseエディション、およびWindows Server 2008、Windows Server 2008 R2でのみ利用できる(Windows Server 2003 R2向けもあるが、ここでは取り上げない)。SUAを利用するためには、これらのWindows OSでまず「UNIXベース アプリケーション用サブシステム」という機能を追加する。


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 Windows Vista/Windows 7の場合はコントロール・パネルを開き、プログラムと機能グループにある「Windows の機能の有効化または無効化」というリンクをクリックする。すると次のような画面が開くので、「UNIXベース アプリケーション用サブシステム」という機能を選択して追加する。

 Windows Server 2008/Windows Server 2008 R2の場合は、サーバ・マネージャの左ペインから「機能」を選択した後で右ペインの「機能の追加」というリンクをクリックし、「UNIXベース アプリケーション用サブシステム」という機能を選択して追加する。

手順2――SUAパッケージのダウンロード

 以上の操作でインストールされるのは、POSIX互換環境サブシステムだけ、つまりUNIX互換プログラムを実行するためのOSコンポーネントを用意するだけである。UNIX互換のツール類やSDK(開発キット)などは、別途マイクロソフトのダウンロード・センターからダウンロードして、手動でインストールする必要がある。SUA機能を追加したWindowsで[スタート]メニューを開くと、[すべてのプログラム]の下に[UNIX ベース アプリケーション用サブシステム]というグループが作成されており、その中に[UNIX ベース アプリケーション用サブシステムのユーティリティのダウンロード]というリンクがあるので、これをクリックする。


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 以上のリンクからSUAのバイナリ・パッケージをダウンロードすればよいのだが、実はこのリンク先が間違っていることがあるので注意する。SUAの機能をWindows 7やWindows Server 2008 R2に追加しても、このリンク先はWindows Vista/Windows Server 2008向けパッケージとなっているのである。以下にOS別のリンクを示しておくので、そこから直接ダウンロードしていただきたい。最新版はダウンロード・センターで「unix」をキーワードにして検索するとよいだろう。

 これらのサイトから、アーキテクチャに合わせて適切なパッケージをダウンロードする。32bit版Windowsを利用しているなら末尾が_X86.exeとなっているものを、64bit版Windowsを利用しているなら末尾が_AMD64.exeとなっているものをそれぞれダウンロードする。

 なお、SFU/SUAは日本語Windows OS上でも動作するが、すべてのコマンドなどは英語版のままである(マニュアルも英語のまま)。日本語のファイル名などでも利用できるが、コマンド類は日本語化されていない。とはいえ、管理用途なら特に困ることはないだろう。

手順3――SUAパッケージのインストール

 正しいSUAパッケージをダウンロードしたら、ダブルクリックして実行する(手順1を行わずにSUAパッケージを直接実行しようとすると、エラーとなるので、先に手順1を済ませておくこと)。


 インストーラで指定可能なオプションは、標準インストールかカスタム・イントールか、setuidや大文字/小文字の取り扱いをどうするかなどがあるが、これは従来のSFUと同じなので、詳細は先の解説記事などを参照していただきたい。

 以上でSUAのインストールは完了である。スタート・メニューを見ると、いくつかのSUAのツール(シェル)が登録されているはずである。

 SUAはCUIベースのツールばかりなので、作業はいずれかのシェルを開いて行う。SUA(UNIX)のコマンドばかりでなく、通常のコマンド・プロンプトのコマンド(.EXEなど)も起動できる。例えば日本語を含むファイルを編集したければ、viではなく、メモ帳(notepad)を起動すればよい。

 SFUの利用方法などについては、前掲の記事やコミュニティ・サイトなどを参照していただきたい(当該コミュニティ・サイトで提供されている追加パッケージの導入方法についてはTIPS「UNIX互換環境SUAに追加のパッケージをインストールする」を参照のこと)。


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